テレビでイラクを見ると思い出すことがある。
イエメンの砂漠の街・サユーンでバッタを大量に袋に集めている人たちがいた。
よく集めましたな、なんて話をしていたところ、やたら陽気な男が寄ってきて、日本人と見るや「アジアカップはもらったぜ!」と肩を叩く。
「?」となった。
「サッカーだよ」と言われて、前年(2007年)のアジアカップのことを言っているようだとわかった。
でもなんでイエメンで?と釈然としないでいると、
「おれはイラクから出稼ぎに来てるんだ」と踊りながら答えた。
当時イラクはフセインの処刑後の戦時下にあった。
家族を置いて働きに来た、と誇り高い男はまた陽気に笑った。
強烈な日光が眩しかった。